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第1条 この達は、海上自衛隊において使用する再圧タンクの構造等の維持、使用基準、使用方法、点検整備及びその他必要な事項について定め、もつて再圧タンクの使用に伴う事故を防止し、安全に資することを目的とする。

(適用)

第2条 陸上の部隊及び機関(海上幕僚長の監督を受ける自衛隊地区病院を含む。以下同じ。)において使用する再圧タンクについては高圧ガス取締法(昭和26年法律第204号)、自衛艦において使用する再圧タンクについては別に定めのある場合を除き、この達の定めるところによる。

(定義)

第3条 この達において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 再圧タンク 大気圧よりも高い高圧再環境に加圧して、潜水員等の教育訓練、潜水作業時の救急処置、水上減圧法及び潜水医学の実験研究並びに減圧症その他高気圧障害及びその後遺症の治療等に用いるタンクをいう。

(2) 潜水員等 海上自衛官の職の分類制度の実施に関する達(昭和38年海上自衛隊達第110号)別表第1の小職域の「潜水」に係る特技保有者及び特技保有者となるための教育を受けている者をいう。

(3) 潜水作業等 スクーバ、軟式潜水器その他の潜水器具を着用して行う潜水作業及び水中処分作業並びに再圧タンク内における訓練作業及び実験作業をいう。

(4) 潜水深度 潜水中に達した最も深い深度をいう。

(5) 滞底時間 潜降開始時から潜水深度からの浮上開始時までの時間又は再圧タンクの内部での加圧開始時から減圧開始時までの時間をいう。

(6) 圧力 ゲージ圧力をいう。

(7) 減圧停止点 高圧環境下で体内に溶解した窒素ガス等を安全な範囲で体外に排出するため、水中から浮上する途中で浮上を停止してとどまる深度又は再圧タンクの内部で高圧環境下から大気圧に復する途中において減圧を停止する圧力をいう。

(8) 減圧停止時間 減圧停止点で滞留する時間又は再圧タンクの内部で減圧を停止する時間をいう。

(9) 総減圧時間 潜水深度からの浮上開始時から水面到着時までの時間又は再圧タンクの内部での減圧開始時から大気圧に復するときまでの時間をいう。

(10) 潜水時間 滑降開始時から水面到着時までの時間又は再圧タンクの内部での加圧開始時から大気圧に復するときまでの時間をいう。

(11) 水上減圧法 水中における必要な減圧停止時間を短縮し、又は減圧停止を行わずに浮上した場合に、減圧症その他の高気圧障害の発生防止のために再圧タンクの内部で所要の加圧、減圧を行う方法をいう。

(12) 部隊等 再圧タンクを装備し、又は使用する部隊、機関及び自衛艦をいう。

(構造の維持等)

第4条 部隊等の長は、再圧タンクの構造等が、圧力容器構造規格(昭和34年労働省告示第11号)の第2種圧力容器構造規格及び再圧室構造規格(昭和47年労働省告示第147号)に適合するように維持したものでなければならない。

(取扱主任者等の指定)

第5条 部隊等の長は、再圧タンクの整備、点検、操作等を行う者(以下「取扱主任者」という。)1名及びその補佐を行う者(以下「取扱員」という。)3名以上を指定しておかなければならない。この場合において、2基以上の再圧タンクを異なる場所に装備している部隊等にあつてはそれぞれの再圧タンクごとに取扱主任者及び取扱員を指定するものとする。

2 部隊等の長は、取扱主任者については次の表の左欄に、取扱員については同表の右欄に掲げる特技職のいずれか一を有する者のうちから指定するものとする。
  潜水医科幹部

 潜 水 幹 部

 深海潜水幹部

 水中処分幹部
  潜水准海尉

 深海潜水准海尉

 水中処分准海尉

 潜 水 員

 深海潜水員

 水中処分員

3 前項の規定にかかわらず、取扱主任者に指定できる特技保有者が配員されていない部隊等にあつては、潜水准海尉、深海潜水准海尉又は水中処分准海尉のいずれか一の特技職を有する者のうちから取扱主任者を指定することができる。

(取扱主任者代理の指定)

第6条 部隊等の長は、取扱主任者が疾病その他の理由によりその職務を行うことができない場合には、あらかじめ指定した者(次項及び第23条において(取扱主任者代理)という。)にその職務を行わせることができる。

2 前項の取扱主任者代理の指定については、前条第2項及び第3項の規定を準用する。この場合において、「取扱主任者」とあるのは、取扱主任者代理と読み替えるものとする。

(配員基準等)

第7条 部隊等の長は、再圧タンクを使用する場合には、取扱主任者の指揮の下に取扱員を次の表の左欄に掲げるとおり配員(可搬型の再圧タンクにあつてはテンダーを除く。)し、当該右欄に掲げる作業を行わせるものとする。この場合において取扱員が不足するときは、時計係、記録係及び連絡係については所要の教育を施した取扱員以外の者をもつて充てることができる。
操作係2名
再圧タンクの外部における弁操作並びに加圧、減圧の状態及び異常の有無の監視等

テンダー1名
再圧タンクの内部に測る弁操作及び付添等

時計係1名
加圧時間、総減圧時間等の計測

記録係1名
時計係の計測した時間及び経過の記録

連絡係1名
救急品の補給、関係部科等との連絡

(加圧弁等の操作基準)

第8条 再圧タンクの加圧のための弁操作は再圧タンクの内部において、減圧のための弁操作は再圧タンクの外部において行うのを原則とする。ただし、可搬型の再圧タンクにあつては、これらの弁操作は外部から行うものとする。

(炭酸ガスの抑制)

第9条 取扱主任者は、再圧タンクの内部の炭酸ガスの分圧が0.01キログラム毎平方センチメートルを超えないように、換気を行う等必要な措置を講じなければならない。

(立入禁止等)

第10条 部隊等の長は、必要のある者以外の者が、再圧タンクを設置した場所及び再圧タンクを操作する場所(以下「再圧タンク室等」という。)に立ち入ること、及び修理その他やむを得ない理由がある場合のほか再圧タンク室等において火気を使用することを禁止し、その旨を見やすい箇所に掲示しておかなければならない。

2 修理その他やむを得ない理由により再圧タンク室等において火気を使用する必要がある場合には、酸素供給源の元栓を閉鎖し、酸素系パイプ内の酸素を除去した後に火気を使用させるものとする。

(危険物等の持込み禁止)

第11条 部隊等の長は、再圧タンクの内部にマッチ、ライター、セルロイド製品その他の発火又は爆発のおそれのある物及び高温となつて可燃物の点火源となるおそれのある物(以下「危険物等」という。)を持ち込むことを禁止し、その旨を再圧タンクの入口に掲示しておかなければならない。

2 取扱主任者は、再圧タンクに入室する者に対して携行品の点検を行い、危険物等を持ち込ませてはならない。

(再圧タンク内で使用する機器等)

第12条 再圧タンクの内部で使用する機械、器具は、高圧環境下における使用について安全であると確認されたものでなければ取り付け、又は使用してはならない。

2 前項の規定にかかわらず高圧環境下における使用についての安全が明らかでない物品を使用する必要がある場合にあつては、潜水医学実験隊において実験し、安全であると確認された後でなければ使用してはならない。

3 再圧タンクの内部で使用し、又は着用する毛布、毛布カバー、衣類等は、羊毛製若しくは木綿製の物又は静電気防止加工を施したものであつて、かつ,油類の付着しない物を用いなければならない。

(故障時の連絡方法等)

第13条 部隊等の長は、再圧タンクの通話装置が故障した場合に、再圧タンクの内部にある者と外部にある者との間に連絡するための合図、信号等の方法を定めておかなければならない。

2 取扱主任者は、前項の方法を再圧タンクの内部及び外部の見やすい位置に掲示しておくとともに、取扱員及び再圧タンクに入室する者に対して、あらかじめ周知させるものとする。

(使用中の表示)

第14条 取扱主任者は、再圧タンクを使用中(整備又は点検のために操作する場合を含む。)は、再圧タンク室等の外部の見やすい箇所に「再圧タンク使用中」及び「火気厳禁」の表示を行わなければならない。

(使用前の点検)

第15条 取扱主任者は、毎使用前に、次の各号に掲げる装置の作動状況、資材の準備状況等について、使用に適した状態にあるか否かを点検し、異常を認めた場合には直ちに修理その他必要な措置を講じなければならない。

(1) 通話・警報装置

(2) 加圧・減圧装置

(3) 扉の開閉装置

(4) 照明装置

(5) 散水装置

(6) 給水装置

(7) サニタリー装置

(8) 暖房・冷房装置

(9) 吸引装置

(10) 呼吸装置

(11) 計測装置

(12) タンク本体の内部及び外部の状況

(13) 給気源の圧力及び現有量

(14) 救急器材

(15) 水上減圧法基準表、救急再圧処置基準表、秒時計、記録用具等

2 取扱主任者は、前項の点検の結果及び修理その他必要な措置を講じた場合の概要をその都度点検表に記録し、3箇月間保存しなければならない。

(水上減圧法の基準)

第16条 水上減圧法を実施するときの基準は、呼吸気体に純酸素を使用する場合にあつては別表第1、呼吸気体に空気を使用する場合にあつては別表第2に定めるところによらなければならない。ただし、酸素耐性能力検査に合格している潜水員等以外の者に対しては、呼吸気体に純酸素を使用してはならない。

(救急のための再圧処置基準等)

第17条 医官の配員されていない部隊等及び医官が不在の場合において、減圧症その他の高気圧障害者が発生したときには、その者の症状に応じ別表第3の救急再圧処置基準のうち、テーブル1からテーブル4までのいずれか一を選択し、直ちに救急再圧処置を行うとともに医官の所在する最寄り部隊等の長に要請し、医官による協力を受けるものとする。

2 前項の規定により要請を受けた部隊等の長は、遅滞なく医官をして、救急再圧処置を実施している取扱主任者に対し、救急上必要と認める指示、助言等を行わせるものとする。

(減圧の特例)

第18条 事故のために、再圧タンクの内部にある者を退避させ、又は救出しようとする場合には、必要な限度において前2条に規定する減圧速度を速め、又は減圧停止時間を短縮することができる。

(検査整備標準等)

第19条 部隊等の長は、別表第4の検査、整備標準に定めるところにより検査し、所要の整備を行わなければならない。

2 部隊等の長は、前項の規定による検査及び整備を行つたときは、その都度結果を記録し、3年間保存しなければならない。

(タンク内部の塗装等)

第20条 再圧タンクの内部の塗装は、難燃性の塗料を用い、防錆塗り1回、上塗り1回に止めるものとし、再塗装を行う場合は、古い塗料を完全にはく離した後実施しなければならない。

2 再圧タンクの内部の整備等を実施した場合は、終了後内部のちり、ほこり、油分を完全に除去し、アルコール、ガソリン等を使用したときは、揮発性蒸気が残留しないよう十分に換気を行わなければならない。

(使用記録)

第21条 取扱主任者は、再圧タンク使用の都度別記様式による再圧タンク使用記録を作成し、部隊等の長の検印を受け、3年間保存しなければならない。

2 使用記録は、2基以上の再圧タンクを有する部隊等にあつては、それぞれの再圧タンクごとに作成するものとする。

3 部隊等の長(潜水医学実験隊司令を除く。)は、再圧タンクを治療、耐圧適性検査、酸素耐性能力検査及び救急再圧処置のために使用したときは、使用記録の写1部をその都度潜水医学実験隊司令に送付するものとする。

(非常の場合の措置)

第22条 部隊等の長は、諸装置の破損及び作動不良並びに再圧タンクの内部に入室中の者に異常等の非常事態が発生した場合の処置について、常に綿密な計画をたてておくものとする。

(取扱主任者等の教育)

第23条 部隊等の長は、取扱主任者、取扱主任者代理及び取扱員を指定したときその他必要と認めるときには、それらの者に対して再圧タンクの点検、整備及び操作等に関する事項並びに再圧タンク使用中の非常事態発生時の処置その他必要と認める事項について教育訓練を行わなければならない。

(使用不能の場合の報告等)

第24条 固定型の再圧タンクを装備する部隊等の長は、修理等のため固定型の再圧タンクが使用できないときは、できるだけ事前に十分に余裕をもつてその旨(使用不能期間を含む。)を海上幕僚監部防衛部長及び関係がある部隊及び機関の長に報告又は通報するものとする。

(委任規定)

第25条 この達に定めるもののほか、この達の実施に関し必要な事項は、部隊等の長が定めるものとする。

附 則

この達は、昭和48年6月1日から施行する。

附 則〔第1次改正による附則〕

この達は、昭和53年2月8日から施行する。

附 則〔海上自衛隊の病院の廃止及び自衛隊地区病院の新設に伴う関係海上自衛隊達等の整理に関する達の附則〕

この達は、昭和63年4月8日から施行する。

附 則〔艦船において使用する高圧ガスに関する達を廃止する達の附則抄〕

1 この達は、昭和63年12月15日から施行する。

別表第1(第16条関係)

水上減圧法(酸素使用)の基準

1 潜水深度欄に示す深度の区分ごとに、滞底時間欄に示す時間の潜水作業を実施した場合には、減圧停止点及び減圧停止時間欄に示す減圧停止点で、同欄に掲げる時間だけ浮上を停止して水面に浮上する。この場合において最初の減圧停止点までの浮上は毎分7.5メートル(25フィート)の速度で行い、各減圧停止点間の浮上及び最終の減圧停止点から水面までの浮上は、それぞれ1分間の速度で行うものとする。

2 減圧停止を必要としない潜水を行つた場合の浮上は、毎分7.5メートル(25フィート)の速度で水面まで浮上する。

3 水面到着後装具を取り外し再圧タンクに収容して1.2キログラム毎平方センチメートル(40フィート)の加圧を完了するまでの時間は、4分間を超えてはならない。

4 前項の場合における加圧の速度は、毎分2.3キログラム毎平方センチメートル(75フィート)とする。

5 前2項に上る加圧完了後、左欄の潜水作業等欄に掲げる潜水深度及び滞底時間に応じ、右欄に掲げる時間だけ酸素吸入を行つたのち酸素吸入を継続しつつ2分間で大気圧まで減圧するものとする。

別表第2(第16条関係)

1 潜水深度欄に示す深度の区分ごとに、滞底時間欄に示す時間の潜水作業を実施した場合には、減圧停止点及び減圧停止時間欄に示す減圧停止点で、同欄に掲げる時間だけ浮上を停止して、水面に浮上する。

2 浮上は、毎分18メートル(60フィート)の速度で行う。

3 水面到着後装具を取り外し再圧タンクに収容して加圧を開始するまでの時間は3分30秒を超えてはならない。

4 再圧タンクにおける加圧の速度は毎分2.3キログラム毎平方センチメートル(75フィート)、減圧の速度は毎分1.8キログラム毎平方センチメートル(60フィート)とする。

5 再圧タンクにおいては、左欄の潜水作業等欄に掲げる潜水深度及び滞底時間に応じ、右欄に掲げる減圧停止点の圧力まで加圧し同欄に掲げる時間減圧を停止した後大気圧に減圧する。

別表第3(第17条関係)